2月末、那覇、月光荘。
やちむん通りを抜けたところに井戸がある。
ガジュマルが一本。
シーサーではなく、龍が守っている。
これもウタキなんだろうか?
那覇に来るといつもここに来ているような気がする。
前にここに来たとき、コニカミノルタA200のオートフォーカスが壊れた。
この日も、またそのカメラのオートフォーカスが、ここで突然カタカタと言いだした。
ああ、そういうところなんだ、
と、わかったようなわからないような気分で、シャッターを押した。
朝ご飯のために農連市場にいく。
当てはなかったが、椅子が二つだけのカウンターに惹かれる。
私たちも二人だったから。
台湾からですか?
両親と出稼ぎ行っていた台湾から31年前に引き上げてきたのさあ、
ここのご出身?
いや宮古さ、
スゴイ人生がこの人にあるんだ。
野菜スープ、ちまき、ぜんざい。
オバアに出会った。
マチグアーを流れる川にはティラピアが群れて泳いでいて、
それをみているとオバアが
ワンのこれが(小指をつき出す)ここで釣りするのがしちゅんでえ、、、、、
そのうち突然、オバアがこういった。
ワッターのウチは泊にあった、アメリカナが来たとき
船から「いまから上陸するから、ヤンバルに逃げなさい」と
スピーカーでいわれ、スーやアンマーとヤンバルに逃げたさあ
ウットーが泣くんでスーが負ぶってなあ
脚がこんなにふくれてえ、、
ワンはスン時15だったあ、、、、
15だったあ、と言うとき私の耳に口をつけるようにして、
手のひらを立ててささやいた、
少しはにかんで。
マチグアーには崩れかけているマチヤグアーもある。
次にくるときは、この店はもう無いかもしれない。
さっきのオバアとも、この次にくるときは会えないかもしれない。
それを、あの人はわかっていたのかもしれない。
ワンはスン時15だったあ、
月光荘。
夕方から2階で三線の音が聞こえている。
夜遅くまで、ユンタクが続く。
翌朝、月光荘の前に咲いていた。