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きょうも良き日


by neko
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カテゴリ:演劇( 1 )



4年ほど、寝かせてあったブログを再開。

とくに何かがあったわけではないけど、やはり書き留めておくということは生きていく上で必要なことだ。

とくに何かがあったわけではない、と書いたが、1127.日曜日に、津の第七劇場と台北のShakespeare'sWild Sisters Groupの「罪と罰」、「地下室の手記」をみて、この感想は書き残しておきたい、と思い、じゃ、ブログにでも書いておくか、というわけである。

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 「罪と罰」は、演出の鳴海さんがトークで「骨格しか残ってない仕上がり」と言っていたが、原作の骨格に新しい肉がついて新しい「罪と罰」になっている。
 呑んだくれのマルメラードフが酒場で饒舌にしゃべるくだりで、服を脱ぎ棄てパンツそれも金ピカのビキニ一枚になってしまう。そして、ブタの被りものを被るのである。これだけなら「駄目な男の表し方」くらいで終わるのだが、彼が死んでしまってから、なおもこの姿で最後まで「狂言廻し」として出続ける。時にはラスコーリニコフの内面となり、時にはソーニャの母になったりである。さらに金貸しのおばあさんもブタであり、ラスコーリニコフを追い詰める予審判事も最後はブタの被り物である。これだけなら、傲慢なラスコーリニコフの目に映る「俗悪な者たち」はブタなんだ、となるが金貸しばあさんの妹、そうばあさんといっしょにいただけで殺される、ソーニャの友達のリザヴェータまでもブタなのである。
 そうなるとブタの意味は分からない、ましてや金ピカビキニはもっとわからない。ただ奇妙ないでたちの狂言回しがいるのは劇的な緊張と滑稽な緩みを与えてくれる。
いまだにあれらがなんであったかはわからないが、妙にリアルなブタの被り物がふと今でも思い浮かぶ。
 あれはなんだったんだろう・・・
 
 それぞれのカンパニーは、一人づつ女優を交換している。「罪と罰」のソーニャは台湾の女優が演じた。日本語のセリフに中国語で答える、という風である。これまでもそういうのはあったから、びっくりはしなかったのだが、「地下室の手記」で台湾俳優に混じった日本女優の使い方は面白かった。
 
 「地下室の手記」は、原作の一人語りをそのまま群読のカタチで演じるのだが、中国語のセリフの中にポツンと日本語の単語をいれたり、その逆だったり、同時に中国語と日本語のセリフを言ったり、日本の女優が中国語でセリフを言ったり、その逆だったり、脈絡なく英語になったり。つまりはセリフの内容を頭で追うことを少し拒否される。
 さらに字幕の書体、大きさ、色、縦書き横書きと変化して短い中国語を日本語に訳すと長くなるので字幕のカットが短いこともあって、字幕を読むのも拒否される。
 「頭で理解するな!」「コトバを信じるな」ということなんだろう。さらに衣裳を人形劇のように使ったり、振付のついた動きだったりで原作を短縮しただけともいえるが、演劇として十分に楽しめた。
 「地下室の手記」の何か新たなものを見出すことより、多言語演劇の面白さを十分に演出してみせ、セリフや字幕で何かを得ようと思う小賢しい観客に、演劇的な楽しみ方を教えてくれるものになっていた。
 特筆すべきは台湾の俳優たちの魅力的な声と美しい動きである。久々「俳優」というつややかなものを感じ取れた俳優群であった。
 もう一つ、こんなプロジェクトを三重県文化会館と台湾の劇団が成し遂げたのは素晴らしいことだと思う、3年継続らしいから来年が今から楽しみである。

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by kanekonekokane | 2016-12-03 11:26 | 演劇