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きょうも良き日


by neko

ソウル3日目


ソウルの3日目。
ソデムン(西大門)にある日本の植民地時代の刑務所跡を見学しに行った。
ソウルに通って三年目だが、戦争や植民地時代のものを見ようと思ったのははじめてである。
パンムンジョン(板門店)にアシを延ばしたのも、やっと、私に韓国の「核心部」に触れてみたいという気持ちが出てきたのかもしれない。

刑務所跡は、日本語の解説が少なく、展示も刑務所で亡くなった人のことに重きが置かれて、日本の植民地政策の歴史的な俯瞰が出来ているとは言いがたかった。
思っていたほど暗い気持ちにもならなかったし、日本の非道さをあらためて見つめるというところまではいかなかった。これは私の認識の浅さのせいかもしれない。

慰霊碑に大きな真っ白な真新しい献花があった。日本共産党の志位委員長のもので、アジア政党会議に出席のためにソウルに来ているという報道を思い出した。
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共産党の委員長が韓国を訪問するのは初めてで、韓国の政府高官が志位さんと握手をしながら、「数年前なら私は反共法で逮捕されます」と笑ったそうである。
東京で拉致監禁された金大中が大統領になる、そういう激動の現代史をかかえた国である。
おもえば、私がこの刑務所跡に行ったのも、この国のそういう大きな時代の流れの中でのことなのだ。
数年前なら、ここで日本語で笑顔でしゃべっていたら、ただですまされんかったかもしれない。
今、どこへ行っても、「チョヌン イルボン サラム(私は日本人です)」と言っても丁寧な対応をしてもらえる時代になったのだと、あらためて思った。

二度とこの国といがみ合うようなことがあってはいけない。
いま、すすんでいる文化交流、それも「芸術」などというレベルでない大衆的なテレビ的な交流を絶やすことがあってはいけない。
数千年にわたって大陸との橋渡しになり、文化を伝えてもらった相手ではないか。
もう一度、この国のひとびとの語るところを、良く聞く耳を日本人は持つべきである。
ソウル3日目_f0064415_2101287.jpg

   刑務所跡を見学する子どもたち。
by kanekonekokane | 2006-09-19 02:14